長めの夢 バサラ(♂主人公)

□運命が変わる時
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「ただいま戻りましたー」

「おかえりー五十嵐今日も声かけられただろ?」


そう言って榊原先輩は急いで帰ってきた俺を見てニタニタと笑う

「だって息切れてるし、いつものことだし?」

「だったらたまには先輩が訪問行ってくださいよ」

院長がいないのはよくないと思うがこの苦労を少しくらいわかってほしいと思う
もんだ

「えー嫌に決まってんだろ?だからお前に頼んだんだから。
それにお前のほうが訪問のお客さんに人気あるんだからさ」

回転椅子に座って途中だったカルテを書き込む

「それにお前おばあちゃんっ子だろ?きゃぴきゃぴした子より話すほうが楽しいだろ?」


確かに俺の両親は小さい頃に亡くなり、ずっと祖父母に世話になっていた

でも今はもう二人とも亡くなって天涯孤独の身だ


「まぁくだらない話でのんびりしてていいですけど、たまには今時の子と話してみたいもんっすよ」

「第一、お前がずっといたら変な男が居座るだろ〜俺はお前以外の男に勃たねぇし」

そういえば俺が訪問に行かなかった頃は変に健康そうで
来る必要性がないような男の客が多かったような…って

「先輩、ナチュラルに勃つとか言わないでくださいよ。ビビるじゃないですか」

思わず慌てて尻を手で庇ってしまう

「大丈夫だって。仕事場で襲うほど溜まってねぇよ」

先輩に襲われることがないのがわかったから暖かいコーヒーを用意してブラックで頂く



先輩は至って普通の女性が好きで男にはくそほど興味ないらしいが

「でもあん時のお前可愛かったよなー」

「ブフッ」

思わずコーヒーを吹き出しかけた

先輩は「うわ、汚ねーな」と俺から距離をとる

「……とりあえず爆発してください」

「股間を?」

「はぁ…」

先輩のくだらない発言にため息がでてしまう


「でもマジでさ、そこら辺の女より美人だよな」

「男らしくて悪かったですね」

「そんなんじゃねぇって…」







そんなたわいのない話をして器具の片付けをして先輩より先に失礼することにした


「じゃあお先失礼しまーす」

「おー変質者に会わないようにな」






時計を見ると夜の9時、晩御飯の材料を袋に下げ自宅へ向かう


「………?」

近所の公園から何やら騒がしい声が





「おいこらじじいっ!てめぇ何してんだよ!!」

「すまんのぅー最近足腰が弱くてのー」

「足腰関係ねぇだろ!この服高ぇのによくもおでんの汁かけやがって!」

「すまんのぅ…」

2人の若者が1人の老人に責めているらしい



「おい、何してんだ」

職業柄、というか個人的にご老体を苛める輩は大嫌いだ

「あ?なんだお前」

「仕事終わりの警察だけど?」

もちろん嘘だ。かっこいい職業だと思うけどな

こんな輩にはこれくらいの嘘ついたって別にいいだろ

「警察!?……なんでもねぇよ」

俺が警察(笑)とわかるやいなや逃げていくよいに若者達は走り去った




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