長めの話 太郎A

□怖がりの咆哮
2ページ/11ページ




「おい、どうした」

「いや、コイツどっか見たことあると思ってよ」

まさかのヤンキーは一人ではなく、ヤンキー仲間らしき人たちが2人やってくる

「は?どこにもいんだろ、こういうの」

「にしては見覚えあんだよなぁ…おい、てめぇ何者だ?あ?」

「いや、普通の生徒…です」

顔を逸らしてヤンキーさんたちからジリジリと距離をとる、なんでこういう時に限って出くわしてしまうのか…



「あ、写真のやつじゃね?」

「!」

別のヤンキーが思いついたように俺の顔を近くで見始める

「写真?教室のか?」

「そうそう、髪型とかこんなんだっただろ?」

「いや、あんな髪型どこにでもいんだろ?」

「じゃぁその眼鏡取ってみたらわかんじゃね」

ヤンキーの一人が俺の眼鏡に手を伸ばしてくる


バシッ


「………あ?」

「……いや、その」

まぁ本能的に叩き返しちゃうよね

「おい」

「!ちょ、ちょっと!!!」

ヤンキーが目で合図して一人が俺を羽交い絞めをする

「暴れんなよ」

「っ…ちょ、っと…マジで、離して…」

少し抵抗しても流石はヤンキー、力が半端ない

「離、せ、このっ…!」

俺を押さえつけている奴から逃げようとしていたら目の前に手が


「っ…!」


バシッ

俺の眼鏡を取ろうとしたヤンキーの手を思わず蹴り飛ばす


「……あ゛?」

バキッ

「っ……」

ついにヤンキーが切れてしまって一瞬で俺の顔を問答無用でパンチ

「がり勉が立てついてんじゃねぇぞ」

「……………」

姫島君といいこのヤンキーといい…どうして俺みたいな顔を殴るのかな…

「おいおいがり勉君、大切な眼鏡が落ちましたよぉ〜?」

「!」

ヤンキーが殴られて落ちた眼鏡を拾ってわざわざ俺に見せつける

「うわ、マジでコイツの目の色変だな」

「つか眼鏡割っちまえば?」

「だな、化け物が姿隠したって無駄だっつーの」

「…………」

「そりゃ!」

「うわっいい音で割ったなお前!」

「つーかさ、がり勉君もとい化け物君は今まで隠してたんだよなぁ?カワイソー」

「副会長の恋人やったりリーダーたちと仲良くしすぎたんだろ、罰が当たったんだよ」

「へっ、違いねぇな…おい、聞いてんのか、『化け物』」

「………さ、い…」

「「「あ?」」」

「…る、さい…五月蠅い、うるさいうるさいうるさい!!!黙れ!!!!!!」


耳障りな騒音が俺の耳に響き渡る


あらら

沸々と今日ずっと溜まっていた何かが


ブッツリと、弾けた気がした






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ