長めの話 太郎A

□怖がりの咆哮
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ざわ、ざわ…


俺が歩くたび、影から、視線の端っこから俺を見る目が見えてしまう


「あいつだろ、あの教室に貼ってた写真のやつ」
「だろうな、にしても何で眼鏡してんのにあんなカラコンつけてんだ?」
「まさか元々だったりして」
「んなわけねぇだろ、アイツ普通の庶民だろうし…日本人以外の血があるとは思えねぇよ」

「なんかさっきB組で暴れたらしいよ」
「うっそー、こえぇ…」
「比較的おとなしい方だと思ってたんだけどなー…ついにブチギレたか?」
「たかが目のことでキレる奴がいるかよ」


「…………」


チラッと声がするほうに顔を向けると野次馬が小さく声を上げて逃げていく

くそう…むしゃくしゃする…



「………どこにいこ…」

あれだけ暴れといてすぐに教室に戻るわけにはいかない

かといって、他の教室に近づけば写真のことで人が無駄に近付いてくる

自分で言ってしまうのもなんだが、今の俺はかなり危ない

些細なことでキレそうだし、余計に化け物に近づいてしまう


「……………」

バン!!

自分が考えたことで苛立って思わず窓ガラスに拳をぶつける


「……はぁ…」

とりあえず、一度帰るか…



トン


「あ…すいません」

一度自分を落ち着かせて廊下を歩いていると誰かと腕がぶつかる

まぁきっと相手にとっては肩なんだが…


「あ?」

「オウフ…」

下からぐわんと見上げてきたのはピアスたくさんの眉無しヤンキーさん、どうみてもヤンキーです


「すいません…」

「おい、待てよてめぇ」

謝ってから早足で逃げようとしたが流石はヤンキー、舌打ちしながら俺の腕を掴む

「てめぇ、謝ってすむと思ってのか?あぁ?」

「いや、本当にすいません、わざとじゃないんです…」

両手を上げて降参ポーズをとるものの、ヤンキー君は一向に攻撃の態勢を解く気配はない

これってどう見てもヤンキーにカツアゲされているがり勉君だよね、間違ってないけども

「……あ?お前、どこかで見たような…」

「…………」

ヤンキーが俺の顔をまじまじと見て眉を更に顰める






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