長めの夢 うたプリ(♀主人公)B

□期待と裏切り
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ザーーーー…



「……はぁ…」

小野さんが消えてしまってピクリとも動けずにいる私に雨粒が容赦なく打ち付ける

上の崖からは雨水と一緒に泥も落ちて服も髪も泥で汚れてるし葉っぱもたまに落ちてくる


「うわ、まっず…」

間違えて口に入れてしまって吐き出す、泥食べちゃったよ…


「うーん…」

体を支えている腕の下にある木の根はさっきからミシミシ言ってるし足を挟んでいる太めの根は全然動きもしない

力を入れて抜いてしまえば抜けるかもしれないが、足と反対方向に体重をかけるから手の下にある根に体重がかかって下手したら折れる可能性が高い

…これは大人しく救助を待つのが賢明かな





「レディ!!」

「奏!!」

「…ん?」

ボーっと雨に打たれていると遠くからレンと真斗の声が聞こえてくる



「奏!大丈夫か!!」

「レディ…よかった、無事なんだね」

「チッ…何やってんだこのタコ」

「あれれ…みんな来ちゃったの…」

真斗、レン、黒崎先輩まで来てしまって、この3人がいるということは勿論カメラも何人かいる

「レディ、今ロープを降ろす。まずはそれに掴まっていて」

「うん、わかった」

みんな傘も差さずにカッパも着ずにびしょ濡れの状態で準備を進めてくれる

………仕方ないことだけど、カメラさんやディレクターさんは何もしないんだな、仕方ないけど


レンたちはすぐに物置で見たことのあるロープを私に向かって降ろす

それを手で掴んで離してしまわないようにグルグルと何度か巻いてしっかりと持つ

「おい、しっかり持てよ」

「も、持ってます」

反対の手はグルグルと巻かずにしっかりと持つ

少しロープを引っ張るとレン達が少し引っ張ってくれる



「…よし、これなら足の根をなんとかすれば抜ける…」

少し体が浮いてこのままいけば足の根も抜けるかもしれない




ぶちっ



「「「「え」」」」

私も、レンも真斗も先輩も、スタッフ全員が予想していなかった事態が起こる

「うわっ…」

まさか紐を少し引っ張っただけで千切れてしまうとはだれも思ってなかっただろう

これは紐が悪いのか?それとも私が重いとでもいいたいのかこの紐は


ドンッ


「いだっ…」

千切れた紐は宙を舞い、少し宙に浮いていた私の身体は木の根の元へ戻る

少し浮いていたからその分尻餅をついてダメージを受けた


「いたた…」

「大丈夫か奏!?」

「うん、大丈夫…」


メリメリ…


「……じゃないかも」

「今、何と…」




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