長めの夢 うたプリ(♀主人公)@

□友達
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「あの、奏ちゃん」

学園長が「それではサラバデース」といって出て行ってから春歌が声をあげた

「その、さっきの曲…もう一度聞いてみたいです」

「さっきの…課題の?」

「はい!聞いた時一つ一つの音が生きているようで楽器が歌っているようで…
奏ちゃんの歌声も引き込まれる声でその世界に誘われたような気持ちになりました…
AメロBメロとサビの抑揚のつけ方もとても素敵でした!」

「そっか…」

作曲家志望の春歌に言われると素直に嬉しいと思う
自己紹介のときに学園長が無理やり春歌の入試に送ったデモを流したときすごくいい曲だったから
こんなふうにすごい子に褒められると

「あ、ありがと…」

どうも照れくさい

「でもさっきの曲は…まだ未完成なんだ。できたら完成したものを聞いてほしい…かな」

今日としてはさっきのがベストなんだけど明日になれば欠点が見えてくるから

まだこの曲は完成していない

「そう、ですか…あ、でしたら!完成したのをとても楽しみにしてます!」
「うん、ありがとう」





「じゃぁあの曲弾けばいいじゃない?」

先生が不意に私の肩に手を置いた

「あの曲?」
「ほら、私が一番好きな曲!」
「あぁー…」

「りんちゃん、あの曲って何?」
一十木君がはーいと手を挙げ質問をする

「たまたま親戚のとこ遊びに行ったら奏ちゃんが弾いてた曲よ。これ聴いてここに勧誘したんだから!
この曲ってね…」


「林檎ちゃん」


気持ちが昂っている先生の言葉を遮って口に指をあてて

「しー」

と声に出さず言うとみんなが一斉に静かになる

静かになったのをきっかけにピアノの鍵盤に手を置いた


♪〜♪♪〜〜〜♪〜

「♪〜♪〜♪♪――♪〜…」

目を瞑っても弾けるほど歌ったことのある歌

私が初めて作ったオリジナルの曲
あれから数年たってて何度かメロディーや曲調を変えたこともある
でもこの歌の思いは変わることはない


♪〜♪……

一曲まるまる歌い終わると後ろから拍手が湧き上がった




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