短編
□余韻と欲情
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「…すまない、張り切りすぎた」
「…照星さん…はげし…」
「…悪い」
白いシーツに二人でくるまりながら見つめあう。
事情後の余韻は甘ったるくて、心地よい。
私の髪を撫でつける彼は、私と十以上も離れている癖に、夜は容赦ないったらない。
刻み込まれるように打ちつけられた欲に溶けてしまいそう。
まるで飼い猫でも可愛がるように、額、瞼と口づけられて、くすぐったいと身をよじる。
「照星さんは年の割にはいじわるです…」
「仕方ないだろう、可愛いものは愛でるのが流儀だ」
「…きざあー…」
「そうか?」
赤くなった顔を隠すように、照星さんの首に腕をからめる。
そうすると、応えるように手が背中にまわってきて、それがまたこそばゆい。
「今日は随分甘えるな」
「…甘えたい気分なんです、甘やかしてください」
「もう十分すぎるくらいかと思ったが、足りなかったようだな」
「…ばか」
くるん、と照星さんは私に覆いかぶさって、今度は息もできないくらいのキスが振ってきた。
苦しい、苦しい、嬉しい、愛おしい。
胸の間に赤い印をつけながら彼は言う。
「寝かせられないな」
「寝かせるつもりなんてないくせに」
「…よくわかってるじゃないか」
ぎしっとベットのきしんだ音が、やけに耳に響いた。
余韻と欲情
(愛されすぎて、もう溶けそう)
(愛しすぎて、壊れそう)
*