短編2

□策士と恋愛
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なんで私なんかがこんな状況に陥っているのか全然分からないのだけど、この人は何故、執拗に私に構うのでしょうか。
接点なんてまるで無かったはずなのに。
未来企画の代表様が、私みたいな平の図書隊員に構う利点なんて…どこにあるの。



「今度、食事にでも誘わせてもらうよ」

「…仕事中ですので…」

「手厳しいね。まあいいよ、また来る」


次もレファレンスよろしくね、なんて手を振りながら去って行く後ろ姿を目で追いながら、短くため息をついた。

「お疲れ様」

「…柴崎さん…どうして助けてくれなかったんですかあ…」

「だって一応、知り合いだもの。邪魔はしないって協定結んでるの」

「はあ?」



協定だの何だのって、二人のしたい事が私には良く分からない。
さっきのレファレンスだって私に聞くより、よっぽど柴崎さんの方が適当だったろうに。きっと忙しい合間を縫って来てるんだろうから、欲しい情報がすぐ入れば手間も省けるんじゃなかろうか。


「あの人…手塚さんのお兄さんは、どうして私にレファレンスを頼むんでしょうか…どうしたって、柴崎さんに頼んだ方が良いに決まってると思うのですが」


そう言った瞬間の柴崎さんの顔ったらない。他の人には見てほしくない、見せられない。


「…あきれた。あんたそんな事思ってたわけ?!」

「ちょ、ええ?!なんで怒るんですか!」


こりゃ、笠原以上だわ…、なんて言って頭を抱える柴崎さんに、私は何とも納得がいかない。


「何なんですか!教えて下さいよ…!」

「嫌よ。自分で考えなさーい!」



早足で歩きながら、笠原といいあんたといい…何で男の気持ちに疎いのかしら!とぷりぷり怒られて、その時ようやっと…私は気がつくのである。
手塚さんが図書館に来てた理由ってもしかして…もしかしちゃったりするんだろうか。



「…っ、あ…の…柴崎さん…?」

「何よ」

「私の自惚れじゃ無ければですけど…手塚さん…私に会いに来てるんです…?」



振り返った柴崎さんの表情を見て、私は顔を赤くして俯いた。

「私は何も知らな―い。さ、お昼行くわよ!」



気づいてしまったが最後
(個人の事情には触れないようにしてきたんだけど、これくらい楽しんだって罰当たらないでしょ―。)



*あとがき
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