Series用作品

□2.てるてるぼうずの恋
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※蔵謙 白石家にて 白石視点




「…。」
「なんでそないにすねてるんや。」
「やって雨なんやもん。」



謙也はむっとした顔で窓の外を見た。

しとしとと雨は降りやむ気配がない。


「しゃーないやん。梅雨なんやし。」
「やって雨やと外走れんし部活出来ひんし肌寒いやん!!」



真剣に話す謙也がむしろ可愛くて思わず頬が緩んだ。


「笑い事ちゃうわ!!」
「はは…スマンって!せや謙也、雨上がるようにてるてる坊主作らへん?」
「それ、ええなあ!!」



そうして俺と謙也はてるてる坊主を作り始めた。






「完成や。」
「なんや白石…てるてる坊主まで基本に忠実や…。」

そういいながらてるてる坊主の胴体に星をかきこむ謙也。



「俺も出来たっちゅー話や!!」



そういってベランダにてるてる坊主をくくりつける。


「「明日は天気になりますよーに!」」



2人してそう願った。


その時、





びゅっ!!

不意に風が吹いた。


「あ、てるてる坊主が…」


俺と謙也の2つのてるてる坊主が風で絡まりあい、寄り添っているようになっていた。



「…まるで俺と謙也みたいやな。」


そう言うと頬を真っ赤に染めて謙也はうつむいてしたまった。


「…の…日」
「え?」
「雨の日…嫌いやないかもしれへん…ずっと白石とこうしてられるから…」



小さい声でそう言う謙也がとてもいとおしくて。



俺は謙也の頭をなでながら2人でずっと寄り添っていた。



ベランダのてるてる坊主のように―――――。




-てるてるぼうずの恋-

(たまには、こういう日もええかもしれへんな)
 

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