Series用作品
□1.こんな雨の日には
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※蔵謙・白石視点
ポツ…。
「あ…雨や…。」
帰りの会が終わる頃、雨は突然降ってきた。
とたんにクラスは嫌な空気が漂う。なぜなら今日は一日中晴れの予報が出ていたからだ。
「傘なんて持ってへんわ…。」
後ろの席の謙也が苦々しく呟いた。
「せや、白石は傘持っとる?」
「いくら完璧な俺でも持ってへんわ。予想外や。」
そう答えると頬を膨らます謙也。
お前ホンマに中3か?仕草が可愛すぎるわ。
…と思ったが口に出して言うと怒られそうなので止めておく。
「今日は部活あらへんし、雨やし。嫌や…。」
「まぁ、そんなこと言わんと。通り雨やろうから昇降口で待とうや。」
そういって2人で昇降口へ向かう。
「待つのも嫌いなんやけどなぁ…。走って帰ってええ?」
「駄目や。」
「浪速のスピードスターは雨に濡れる前に帰れるっちゅー話や!!」
「駄目や!!もし謙也が風邪引いて学校休んだりしたら楽しくないわ!!」
そういうと謙也の足がぴたりと止まった。
「謙也…?」
「恥ずかしいこと……さらっというなやーーー!!」
あ、顔真っ赤。
スマンと言おうとすると謙也がたどたどしく言葉を続けた。
「俺かて白石が休んだら…楽しくないっちゅーねん!!」
…アカン、一本取られたわ。
「ほな、待とか。」
「おん…///」
-こんな雨の日には-
(君といるのが一番)