小説
□おやすみ。
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ああ、シカマルが泣いている。
泣かないで。泣かないでシカマル。
私はもう貴方を抱きしめられないし慰めてあげられない。シカマルの涙を止めてあげられない、の。だから…
「…っ…チクショウ……なん、で」
自分で全部背負い込むのはシカマルのいけないところだって言ったじゃない。貴方のせいじゃないわ。
ちょっと離れたところで君を見守ってるから。私の事も忘れてね?私を忘れてくれた方がきっと貴方は幸せになれるわ。少し寂しいけれど…
***
「…もう…二年か」
そうだね。シカマルはまたかっこよくなったね。とても頼もしい大人な顔つきになったわ。
「あれから、やっぱり忘れらんねぇんだ。お前の事。……でもな」
貴方の記憶に残れて嬉しい反面、きっと苦しめ続けたわね。ごめんね。でも私も忘れる事なんてきっと出来ないよ。
「俺、また一歩踏み出そうと思うんだ。」
うん。
「別の奴と付き合うなんて言ったら…怒るか?」
ちょっと寂しいけど、大丈夫。怒らないよ。
「今まで…ありがとう、な。…好きだったぜ。」
私も大好きだよ。シカマル。
私の墓標に置かれた花束が私の好きな花ばかりで、嬉しくて、哀しくて。
多分彼はもうここに来る事は無いだろう。
おやすみ my lover。