小説 デュラララ!!

□笑わないで受け止めて
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ピンポーン



シズちゃんは付き合ってからいつも俺の誕生日に花束をくれる。


初めて貰った花束はアザレア。
一昨年は、キングプロテア。
去年は、ケイトウアーリーローズ。


そして、さっき届いたのは赤と白の薔薇の花束。


―――薔薇なんて、シズちゃんにしては珍しいよね。


シズちゃん=薔薇の方程式がどうも上手く成り立たない。
まぁ、花束って時点で信じられないんだけど。


そんなことを思いながらカップにコーヒーを注ぎ、ソファーに座る。
時計を見やると8時ぴったりだった。


―――9時ごろにシズちゃんがこっちにくるからあと1時間、かぁ。


暇だなぁと何気なくデスクの方へ振り向く。
今日は何時もよりも早く仕事が終わって、
部屋の掃除もして、
ご飯も適当に作って、
お風呂も湯を張って、
すべてやることをしてしまっていた。


どうしようかと思いつつ、何気にシズちゃんから届けられた花束を見る。
シズちゃんらしくない、綺麗な花束。
シズちゃんからの想いのつまった花束。


―――あ、花言葉でも調べてみよっかな。


ふとした思いつきだったが、我ながら良いことを思い付いたと思う。
どうせなら今までもらった花束の花言葉も調べてみよう。
そう思い立って、デスクの方にあるPCの起動させる。



ネットを開き、花言葉の専用サイトへとぶ。



まずはひとつめ、アザレア。
カチッとエンターキーを押して画面を見ると、俺は思わず目を見開いていた。




アザレア『信じられない恋』




―――もしかしてシズちゃんは花言葉も考えて俺に花束をくれたのかもしれない。



確かに、俺たちは恋人だ。
だが、世間一般の男女の恋ではないし最初は犬猿の仲だったのだ。
それを思うとこの花の選択は、シズちゃんの想いなのだろうか‥‥‥?


そのまま俺はキングプロテアとケイトウアーリーローズを続けて検索した。


キングプロテア『甘い恋』
ケイトウアーリーローズ『色褪せない恋』



―――全部、これらが全部シズちゃんの想いだったなら―――





俺は最後、赤と白の薔薇を検索した。









『私と結婚して下さい』









ポロッ

気付いたら目から涙が零れていた。
思わず袖で拭うが余計に溢れてきた。

鼻の奥がツーンとしてきた。
嗚咽が混じる。


君は何時から俺とそうなりたいと思ってくれていたのだろう。
何時からそんな風に思ってくれていたのだろう。

俺は何一つ、気付けなくて。
考えてなくて。
そんな俺と一緒になりたいと言ってくれて。


「シズ‥‥‥ちゃん‥‥」


いま。
いま、すぐ会いたい。
会って、抱きつきたい。



ピンポーン



今しがた聞こえた、インターホンの音。
俺は涙を拭う手を止めて暫し玄関の方を見つめていた。


―――もしかして


俺はある期待を胸に走って玄関の方へ行く。





扉を開けたら、案の定シズちゃんで


「シズ、ちゃん!!!」


俺はその胸に抱きついた。



「うぉっ!?どうしたっ?‥‥‥って泣いてんのか!?」


シズちゃんは突然抱きついてきた俺にびっくりしながらも、しっかりと俺を抱きしめてくれた。


「シズ‥‥‥ちゃん!」


シズちゃんの顔を見たらまた涙が溢れてきた。
何か喋ろうと思うも、嗚咽で喉がひきつき喋れずじまいで。


「兎に角、中入るぞ?」



コクリと頷くことで了解の意味をあらわす。



シズちゃんは俺を抱きしめていた腕を俺の太腿の下に入れよっとお姫様抱っこにしてから器用に足で閉まった扉を開き中へ入る。

そのままヅカヅカと部屋に入り俺をソファーの上に下す。
そのままシズちゃんも俺の横に座る。




「で?どうしたんだよ、お前」




シズちゃんが不安そうに俺の顔を覗く。

俺はその目を暫く見つめた後、PCの方を指差す。


「あっち?‥‥‥PCか?」


シズちゃんは的確に俺の指した方向へ行き、PCの液晶を見た。


「お前‥‥‥これ‥‥」


シズちゃんが目を見開いてこちらを振り返る。
俺は恥ずかしくなって体育座りでシズちゃんの方を向く。



「‥‥‥シズちゃんが来るまで暇だしって、花言葉検索してたの‥‥そしたら‥‥結婚、してくださいって‥‥‥」


おどおどとした声になるがさっきまで喋れなかった事を思えばまだましだ。
続きを早く言わなければいけないのに思わず口ごもりシズちゃんから目を逸らす。


「‥‥‥で?何でお前は泣いてるんだ?」


ちょっと不安そうに訊いてくるシズちゃんに俺はぽつぽつと答える。



「だって、シズちゃんは俺とそんな風に思ってくれてたのに、俺はただシズちゃんと一緒にいるだけで、さ。‥‥‥俺なんかがシズちゃんと結婚とかしてもいいのかなって‥‥‥そう思ったら怖くて‥‥‥でも―――




すごく、嬉しくて」



そう言ったあと、無償に恥ずかしくなった。
頬が赤くなるのが自分でもわかる。



「―――はぁ」



シズちゃんの口からため息が零れ、瞬間に俺の身体がビクリと震えた。
なんと言われるのだろう?
面倒?キモイ?疲れる?



「何だよ‥‥‥俺からちゃんと言おうと思ってたのによ」



自分が思っていた言葉とあまりにも違っていて俺は思わず口をポカンと開けていた。


え―――?






「臨也‥‥‥俺と結婚してください。」






これは、夢なのだろうな。


「でも、俺‥‥シズちゃんが思ってるよりずっと嫉妬深いし、馬鹿だし、思い込みも激しいよ?」


花束をもらった時点で俺が見ていた儚い夢なのだ。





「俺は、そういう所、全部含めて臨也が好きなんだ。」






そう言ったシズちゃんが俺に近づき優しくキスをした。
再度重ねられた唇。
とても熱くて、柔らかくて、気持ちよくて


―――夢じゃないんだ。




「もう一回言うからよく聞けよ。‥‥‥臨也、俺と結婚して下さい。」




泣きたくないのに、ポロポロと涙が零れた。



「‥‥‥はい。」



笑ってそう言うとシズちゃんは嬉しそうに口を緩ませて、俺をギュッと抱きしめてくれた。






「シズちゃん‥‥‥ありがとう。







―――大好き。」





fin.



―――――

遅くなりましたが、臨也誕生日おめでと う\(^o^)/ 二日も遅れてごめんねー(笑)

そして、

日本では同性の結婚がまだ認められてません\(^o^)/ なにフツーに言ってんの? ダメだよ、全く!

そして多分、シズちゃんは幽くんに手伝ってもらっていたんだと思います(*´ω `*) ナイス、幽くん!

今回、適当に適当を重ねた結果、あんなふうになってしまって(´;ω;`)ブワッ すいませんでした。

別に臨也が嫌いなわけじゃないよ! 好きだよ!

けど、うん‥‥‥ね?

もういいや!

兎に角、誕生日おめでとう臨也!


ここまでお読みくださりありがとうございます。

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