小説 デュラララ!!
□夏だ!海だ!全員集合!!
1ページ/5ページ
この夏の物語は―――
『海にいかないか?』
っていう、僕の可愛いセルティの一言から始まったんだ!
・。・。・。・。・
「うわぁ!!海だよセルティ!!やった!!セルティの水着姿を拝めるなんて夢みたいだ!」
『新羅』
「なんだい?セルティ」
『少し黙れ。』
「あ…ごめん」
『静雄たちが見ているし…恥ずかしいだろ!』
「え?やだなあもうセルティは!!そんな所も可愛くて仕方が無いよ!」
そんな言葉を繰り返し繰り返しバカップルは続けている。
そんな姿をボーっと見つつ、あれ?なんでここにいるんだっけ?と青年―――折原臨也はふと考えを巡らせた。
「臨也達も楽しもうよ!!せっかく貸し切りビーチなんだから!!ねっ、静雄もそんな顔しないでさ」
そう。ここは、とあるビーチだ。
…何でも、新羅がナントカの抽選で三日間の貸し切りビーチを当てて…それで…
あぁ、そうだ。
俺とドタチン、遊馬崎と狩沢、渡草と…あぁ、確か帝人君と正臣君と杏里ちゃんもか…
皆、一様にセルティから誘いの電話を貰ったとか…
ん?
なんで俺が不機嫌なのかって?
そんなの理由は一つしかないだろう?
「運び屋もこんなに人を呼ばなくてもいのにねぇ。しかも、シズちゃんとか、一番海が似合わない人とかいないでしょ。」
シズちゃんがいるからだよ。畜生。
「あぁっ!?手前の方がよっぽど似合わなねぇだろ!?つうか、何で手前がここにいんだよ!!」
――全く、何が楽しくてこんな単細胞と一緒に居なくちゃいけないのさ…
臨也はイライラする頭を無理やり抑え、静雄にいつものあのうざったい笑みを張り付けた顔を見せた。
「へぇ、シズちゃんは自分の方が海が似合うと思ってるんだぁ…うっわぁwww」
わざと、静雄を怒らせる言動をとってしまうのはもう癖になっている。
「テメッ…いい気になるなようるぁぁぁぁぁ!!!!」
静雄が怒っているがここはビーチである。
勿論、電柱などは無いので殴るしかない。
ガゴッッ!!
いくら静雄の腕が長いからといっても電柱には敵わない。
ので、リーチはいつもより極端に短くなっている。
「なに?シズちゃんwwwもしかして君、物に頼らなきゃケンカ出来ないのぉ??www」
と、そんな自殺志願者さながらの台詞を吐きつつ静雄が投げてくる拳を躱していく。
静雄も静雄でそんな簡単な挑発にまんまと掛かり罵声を浴びせつつ拳を振りかざす。
ドゴォォォ
「ったく、手前らは仲良くできねぇのか…はぁ」
門田――ドタチンはそう言ってハァと溜息をついた。
そこで、横にいた狩沢が二へ二へとドタチンに喋りかける。
「まぁまぁ、いいじゃん!だって今、あの二人は愛を確かめ合ってるんだよ〜」
さらに遊馬崎も続く。
「いや、それは無いっすよ〜。きっと今、あの二人は2次元という素晴らしい世界の入り口を探してるんっすよ!
俺まえ、静雄さんに「天国は自分で探すンすよ!」って言いましたから!!」
「いや、違うだろ。つうか、狩沢のなんか、ありえねぇだろ。」
「えぇ〜そうかなぁ〜」
―――なぁんて、俺はバリバリあり得るんだけどねぇww
耳ざとい臨也はドタチン達の会話を静雄に追いかけられながら聞き、フッと薄い笑みをうかべた。
臨也はそんな事を頭の片隅で考えながら静雄の方をチラと見やる。
「…。」
「…あぁ?何だよ?」
その時に丁度目が合い、静雄が訝しげに見てくる。
「いやぁ?別にwww」
―――単細胞に俺のこの繊細な感情が分かる訳ないよねぇ…
ちょっと悲しい気もするが、それは自分のせいだ。
自分が静雄に告白できないヘタレなのを信じたくないから、静雄に責任転嫁をしてしまうんだ。
―――はぁ、俺って本当に駄目だよねえ…
そんな事を頭で考えていても普段の仕事で培った無表情の延長でもある笑みを浮かべながら
臨也は小さく呟く
「…シズちゃん大好き…」
「あぁ!?何か言ったか?」
「ううん?何も!!」
―――今はこれで充分…だな。
そう思いまた微笑んだ後、静雄に暴言を吐くため後ろを振り向いた。