その他の2次創作
□酔っぱらい
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※既に結婚してる設定です。
(別冊あたり…?)
「………」
チクタクチクタクと軽快に同じリズムを取っている時計を彼女―――笠原郁はジィーッと睨んでいた。
―――篤さん、遅い。
ずっと時計と睨めっこしている郁の心境は些か、
否、かなり複雑だった。
今晩、堂上はまだ帰ってきていない。
理由は知っている、幹部の接待だ。
何だかんだで高官な職に就いている堂上は宴会にも呼び出されることが多い。
今回もその一つだ。
それなのに何故このようにイライラしてしまったのだろうかと郁は小さい頭をフル回転させ夕方の出来事を思い出した。
『切りのいい所で帰ってくる』
『行ってらっしゃい、なるべく早く帰ってきてね。』
『あぁ、分かってる。』
堂上はそう言い眉尻を下げて行って来ますと笑って玄関に向きあった。
そして、ふと思い出したかのようにクルリと向きを代え郁の頬に軽くキスを落とし、じゃあなと囁く。
『〜〜〜っっ!!!』
顔をボンッと赤くさせている内にガチャンと玄関の扉が閉まった。
…が、6時間前に起こった出来事だ。
現在時刻は1時。もうお開きになっても可笑しくない時間だ。
のに、全く連絡が入らない。
―――そもそも篤さん切りのいいとこで帰って来るって…言ってたよね!?
何故こんなに遅いのか。
考えたくないが、まさか接待の店先に好い女がいたのかもしれない。
捕まって(もしくは捕まえて)よからぬ方向へ行ってしまったのか。
と、そこまで考えてハッと我にかえる。
自分は今、何を思った?
一体、何て事を考えた?
これじゃあ、まるで堂上を疑っているような…
「―――っっ!…もう…篤さん早く帰ってきてぇ…」
そう弱音を吐いたとほぼ同じに玄関から扉の開く音が聞こえた。
ガチャン
「もうー篤さん遅いよー…って、篤さん!?」
音がしたので急いで玄関へ行ったのだが、そこにいたのは…
―――いや、間違いなく篤さんなんだけど…
そこにいたのは―――
「よーぉ、郁ぅ…んく。ただいまぁ」
べろんべろんに酔った堂上だった。
頬はいつもの5倍(以上)赤く、目もどこか虚ろだ。
が、口元は緩み切っており今にも笑いだしそうな、そんな顔で。
「篤さん、一体どんだけお酒飲んできたの…」
思わず先ほどの事なんか頭の隅に詰めて苦笑とタメ息を同時にこなす。
「んー?たっくさぁん飲んできた。…玄田しゃんかぁ…」
そのまま廊下に突っ伏しそうになっている堂上をよっと支えてズルズルベッドに引っ張る。
本当は風呂に入らせて酔いを醒ますのが良いと思うのだがこんな状態では堂上を一人でいさせるのは危険だ。
だが、いくら戦闘職種だからといっても郁は女であるため腕力は劣る。
―――篤さん重っっ!!
これがみんな筋肉なんだぁと羨ましくなる。
が、こういう時はそんなもの邪魔でしか無い。
「んぅー…郁ぅ…」
始終そんな呟きを聞きながらズルズルと引っ張っていく。