優雅に朗読

□壊
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カツン…

どこかで音がした

僕は気付いたけど

何が起きたか解らず

見て見ぬふりをした



ある日気付いたら

足元にネジが

落ちていた

自分に関係無い

見て見ぬふりをした



日に日に

落ちてるネジは

増えていった

それでも僕は

見て見ぬふりをした



ある日

右腕が落ちた

拾って慌てて

ひっつけた

ひっつくはずも無いのに



次の日

左腕が落ちた

拾って慌てて

ひっつけた

ひっつくはずも無いのに



日に日に

僕の体は

朽ち落ちた



直してあげようか?

ある日

見知らぬ男に

声をかけられた



僕に残された

体はもう

頭部のみ

最期の瞬間は

近かった



僕はすがるように

頼んだ



体は元通り

とはいかなかった

それでも

見れる姿だった



見知らぬ男は

直したけど

長くは持たない

一度壊れたら

全く元の通りには

ならないと言った



壊れる予兆

それを感じた時点で

僕は壊れる運命

それでも

長引いた最期

僕は精一杯生きるよ





.

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