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     第1話

「馬鹿ね。なんで雪美はこんな事も出来ないの。顔も体型も頭も悪い。私の子供とは思えない。」

…まあこんな物だ。ママが不機嫌な時はいつも。しかもママは笑いながらそう言う。

佐藤雪美。14歳。いわゆる不登校。
確かに私は何の取り柄も無い。

なんでこうなったかって言うと…
あっ!話すと長くなるから興味無い人は戻って恋愛小説でも読んでくださいね。聞いてくれる人は最後までお付き合いください。


振り返れば9年前。
「雪美ちゃんは可愛いしお洒落だし大人しいし何でも出来るし皆と仲良くして良い子ねえ。」
幼稚園の先生,友達の親,お稽古事の先生,親戚…皆,口を揃えて言ってた。
小学生になると友達も皆そう言った。

けど5年前、急に変わった。

−−親が離婚−−

ママは次の日から私を連れて違う男の所へ行った。
そりゃあ戸惑ったさ。パパの事は大好きだったし?
お稽古事は全部辞めて引越しして…
学校だけは変わりたく無かったからいつも車で30分かけてママに送ってもらった。

でも…学校が自分の中で変わっちゃった。
段々と自分から居場所を確保するようになった。
今まで一人の時も大丈夫だったのに日が経つにつれて一人でいられなくなって、「付けられたイメージも守らなきゃ」って思い出した。
だって家で居場所がないなら学校では作らなきゃダメでしょ?

ある時、学校で「疲れた」って思ったら急に目の前が白くなって立てなくなって…意識はあるのに皆の声は聞きにくいし…目が見えるようになったのは保健室に運ばれてからだった。

その日ママに病院に連れてってもらうと重度の「自律神経失調症」だと言われた。その時は難しい名前でよく分かんなかったけど、とにかくその日から毎日薬を飲むようになった。

それが悪夢の始まり−−
 

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