◎HQ!!◎

□ハッピー・ニューイヤー
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 大晦日の夜の日向家の居間では、家族が揃ってテレビを見ていた。バラエティ番組がCMに入るとすぐ、音楽番組にチャンネルが変えられる。

 見たい番組はそれぞれだ。こたつの上にはみかんが転がる団らんの時間。

 そんな中で、日向の携帯がメール着信を告げた。

 『あけましておめでとう』には、まだ数時間ある。誰のフライングかと思ったら、青葉城西の及川だった。

 彼はもう部活を引退して、今はしがない受験生を自称している。そのこともあり、12月はほとんど逢えていなかった。



―――――――

こんばんは、及川です( *・ω・)ノ

大晦日、掃除はやったかな?
今頃は家族団らんしてるよね。

新年になってすぐだと電波混雑しちゃうと思って、気が早いけど。

いろいろあったけど、ステキな1年だったよ。

そして、君に出逢って、恋をした。
今すぐ逢って、好きだって言いたいな。

そういうことで、明日元日、初詣デートに誘われちゃって欲しいんだ。

駅前に午前10時でどうかな?
良かったら返事ください。

それじゃ、よいお年を。
大好きだよ、翔(*^^*)

―――――――



 届いたメールを見た兄が、お酒も呑んでいないくせに顔を赤くしたのに、妹の夏は首をかしげた。

「兄ちゃん、お熱あるの?」

「いっ…な、ないっ、お熱ないからっ! トイレ行ってくるっ」

 携帯を持って、日向は慌てて居間を飛び出し自分の部屋へ戻った。

 …ふいうちとか、ズルい。

 及川はクリスマスにも練習終わりを見計らったように烏野高校まで来て、プレゼントを置いていった。

 あの時のドキドキ感は、何日か経った今も残っている。それなのに、今度はデートとか。

 初めてできたカレシには驚かされるばかりで、心臓が付いてきてくれるか心配になる。

 初詣の誘いを断る理由はない。返信しようとするも指がもたついてもどかしくて。早くしないと年が明けてしまう。

 焦っていたら、携帯が鳴った。メールではなく、電話。

「…もしもしっ、日向でつっ」

 ドキドキする鼓動を抑えきれないまま電話に出ると、受話器の向こうからくすくす笑う声がした。

『…こんばんは、チビちゃん。メール届いた?』




 
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