それでも伸ばさずにいられないこの手/ここにいるよ。/身勝手な僕と一途な君/あなた以外の誰がいるというのこの私に/火傷/これ以上望まないで、奪わないで/ドコマデモキミノトモダチ/いとしいひと。/ピエロ/今日に沈む夕陽



























































彼が一人で通路を移動していると、彼はふと彼女に会いたくなった。彼はそのまま彼女の姿を探す。狭い艦の中だから彼女の姿はすぐに見つかった。
後ろ姿を見てすぐにそばに寄ろうと考えたが彼はそうはしなかった。彼女が泣いていたから。
まただ、と彼は記憶をたどる。しかし彼はそのままどうする事も出来なかった。記憶の中の彼女は時々、誰にも見られないようにして(もちろん彼も)隠れて泣いていた。
自分にはきっと彼女を笑顔にさせる事ができるだろう、しかしそれは上辺の問題で根本的な解決にはならない。
ここは相棒の力が必要なのだと彼は瞬時に理解をした。
きびすを返すと今度は相棒を探した。きっと今の時間、彼はあの場所にいるはずと迷わず格納庫に行くと案の定そこには目当ての相棒がいた。
『ロックオンロックオン!』
「お、ハロ。」
『フェルトフェルト!』
「いきなりどうしたんだお前。」
『フェルト泣イテル、泣イテル。』
最初こそ相棒は笑っていたが、用件を伝えれば眉をひそめる。彼は何も言わずにその場を立ち去った。おそらくは彼女の下へ行ったのだろう。

少し寂しいが彼女が笑ってくれれば良い、と、もしも人間ならば、ハロはそう思った。




















































この手が、いくつの命を奪ってきたのかなんて、数えた事がない。


違う。

初めは数えていたんだ。ひとつ、ふたつ、みっつ…よっつ、いつつ。
だんだんと数が多くなって、そして数える事をあきらめた。


子供の時のこれは、そこらに生きるそこらへんの少年達と同じように、何かを作り上げる事に喜びを感じていたはずなのに。

この掌が、指先が、壊す事しかしなくなったのは、


壊す事しかできない事に諦めてしまったのは、



ただ、傷つけるだけの代物になったのは、




いつからなのだろうか。





触れれば傷つけ、持てば崩れる。もろいもろい、人間。


それはわかっているのに、なのに。彼女の為に何か自分にもできるはずだと錯覚する。


俺がやっているのは、ただ彼女を傷つける行為に過ぎない。

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