bun

□日の当たる場所
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「最近、フェルト変わったよね。」

声をかけてきたアレルヤはいきなり俺にそう言った。
「……?」
一応、アレルヤよりはフェルトのそばによく居るつもりだが、言われてもいまいちピンとこない。
フェルトが変わった?どこが?
「…変わった…か?」
「変わったよ!」
問えばアレルヤは意外だという顔ですぐに返事を返してきた。相棒にも変わったか?と問えば「変ワッタ!変ワッタ!」と言ってくる。AIとは言え、ハロに分かって俺に分からないなんてなんか癪だ。(というか、ハロは本当に分かってんのかとも思うが、聞いて返ってきたのだから何も言えまい。)
しばらく黙って考えているとアレルヤが助け舟を出してくれた。
「なんて言うか、よく笑うようになった…と思うんだ。」
「笑う?」
「うん、少なくとも僕にはそう見えたなぁ。」
笑っていた?全く気がつかなかった。彼女の決意を聞いてから俺なりに気を使ってるつもりでいたのだが。
「信頼してるんじゃないかな、ロックオンに。」
「俺?」
いきなり名前を出されたせいか少し声が上擦っていた。
「だって、笑っているのはロックオンと一緒にいる時だよ?」
あの誰にでも心を許すという事をしない少女が、俺に信頼してる?
この、俺に?
「ロックオンに感化されたのかもね。どちらにしても、良いことだと思うな。」
良かったね。と言いたい事だけ言ってアレルヤは去っていく。
今まで情は捨ててきたつもりだった。一人の方が楽だと思っていた。それがどうだろう。他人と距離をおいていた一人の少女が自分の前で笑っていたという事が、こんなにも嬉しい。
「ロックオン!ニヤケテルニヤケテル!」
相棒に言われて始めて自分が笑っていた事に気が付いた。








END
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