bun

□僕はその美しさに恋をした
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彼女を見かけたのは偶然だった。
もしかしたら、必然だったのかもしれない。



その日、僕は街を散歩していた。絵の題材を探すためだ。その時の僕はいわゆるスランプというやつで、何を描いてもダメ。挙げ句には絵から遠ざかっていた。


そんな時に彼女に出会った。(いや、実際は出会ったなんて言えないような。僕がただ遠くから彼女を見ていただけだから。)

休日の人が多い公園で、中央の時計台の下で一人、立っている彼女。
最初に目に入ったのは明るい色の髪の毛。
年齢は15歳そこそこ。女性ではなくむしろ少女。
他の恋人を待っているだろう人達に比べて頭半分小さい。
しかし彼女の事が気になったのはその背負っている雰囲気からか。

一目惚れというのかもしれない。
家に帰っても、何をしていても彼女の事が離れない。



次の日も彼女は同じ場所に同じように立っていた。
次の日も、そのまた次の日も。




ある日、彼女が笑った。といっても、少し頬をゆるめたほどだったけど。
それは、とても円熟された美しさだった。





僕は筆をとる。
その美しさは世界を見下ろす、まるで天上人
───Celestial Being






END
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