bun

□空が泣いた日
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墓石に手を合わせていると、誰かの気配がした。こんな雨の中でお墓参りだなんて、私以外にも物好きがいたのね。



「良い女になったな。」


え?
正直びっくりした。鮮明に聞こえたその声は、あの時から私が欲しかった声で。
それでも、夢だったらとか、別人だったらと思うと期待した分怖くなる。

「ずいぶん遅くなっちまった。」
「…あ」
いきなり、暖かい温もりに包まれる。
「ごめんな。」
顔を上げるとそこには、私がずっとずっと待ち望んでいた顔が、少し困ったように笑っていた。
「……ロックオン…」
そう言った彼にきつくきつく抱きしめられて、長い間我慢していた涙がながれてきた。


「ただいま。」
彼が優しく耳元で囁いた。






空は、いつの間にか雲は無くなっていたけれど。
お天気雨だった。








-I'm Home.-


HAPPYEND?
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