学校至上主義!!!

□序幕
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「はぁ……」


溜め息を付かずにはいられない。そんな心境に立たされてる蓮見 菜那瀬(16)


そして眼前に広がるは県内最大規模を誇る学校、私立翠蘭学園高等部校舎前。


ついこの間まで偏差値もスポーツのレベルも至って平均的な県立高校に通っていた自分の筈なのに、何でこんな偏差値・スポーツ共に全国トップクラスのマンモス校の校門前に居るのか………

菜那瀬は改めて深い溜め息を付く。


「あンのクソ親父…今度、日本に帰って来たらブッ殺してやる……」


そう…彼女がこんな悪態を付く理由は時間をチョイと巻き戻して、つい1週間前の高校生活最初の夏休みにまで遡る。


    **回想**


「なーなーちゃんっ


キャピキャピっと菜那瀬を呼ぶのは父、京丞(38)

世間様から見たら【カッコイイ父親】の部類に入るのに、愛する妻(つまり菜那瀬の母親)を亡くして以来、菜那瀬を溺愛しまくってるので、菜那瀬にとっては【ウザイ父親】のレッテルを貼られている。


「何?何の用なの?」


「うゔ…ナナちゃんがパパに冷たい……」


こんなアホ親父の寸劇に付き合ってられないので菜那瀬は話を手短に済まそうと考えた。


「で?一体何の用?」


ただでさえ真夏日の真昼間から暑さと蝉の五月蝿い鳴き声で苛々しているのに、欝陶しい父親から熱苦しさまで頂戴したくない。


「パパね?ちょっと仕事の都合で中国に行かなくちゃならなくなったんだよねぇ〜☆★」


どう考えてもこのウザイ父親の職業は海外に用が有るとは思えないが、菜那瀬はその疑問を心に思うだけにしておいた。疑問を口にすると抱き着かれたり、頬擦りされたりと後々面倒臭い。


「でね?周りに保護者が居ないとパパも不安だからさ☆賢士朗の経営してる学校に通って貰いたいんだぁ〜♪」


「はぁ!?」


賢士朗とはこのクソバカ親父の弟…つまり菜那瀬の叔父に当たる人物。

こんなアホとは違って聡明で優しい賢士朗は昔から菜那瀬の兄のような存在だった。そして翠蘭学園総理事長でもある。


「賢士朗も二つ返事で快諾してくれたし☆★此処からもそう遠くないからね♪」


こうして菜那瀬に拒否権など与えられもせずに2学期から翠蘭学園高等部に編入が決まったのだった。


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