アリス
□第四十五話
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少女は眠る。現状に不釣り合いなまでに。
「いい加減にしてくれます?」
女王は体に似合わない大鎌を取り出すと黒アリスに構える。
「どおしてぇ?私はアリスよ…?アリスは二人もいらないのだから、私は白のアリスと一つになるだけなのに…。きゃははははははっっ!!」
「メアリ・アン。ルール違反でしてよ」
少女は首を傾げる。黒い髪がさらっと彼女の顔を覆い隠した。
「貴方、この世界のルールがまったく分かっていませんの?
私達はこの不思議の国に招かれた人――――アリスに色を取り返してもらう、そういう『おもてなし』でしてよ」
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