銀土
□君に贈る言葉は呪縛か祝福か
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――――愛してるよ
甘く暖かい筈のこの言葉が冷たく、恐れすら孕んで聴こえ始めたのはいつからだろう。
「土方……愛してる……愛してるよ土方」
甘い筈のその言葉を、土方に囁くのは万事屋主坂田銀時だ。
「万…事……屋」
しっかり抱きしめられた土方は、その腕から逃れようと僅かに腕の中で靤くも、しっかりと抱きしめられていて、徒労に終わる。
録に身動きすら、取れずにいる土方は何かに、縋るように手を伸ばす。
ぼんやりと天井を見上げながら、伸ばした手を見詰める。
伸ばしたその手は、虚しく宙を掴むだけだった。
――――どうして。
頭の片隅に、その言葉だけが浮かぶ。
自分を抱きしめているその腕は離す気配が無い。
抱きしめている銀時が、その腕が恐ろしくてぼんやり天井を、見上げたままだった土方の漆黒の瞳からは、雫がこぼれ落ちる。
どうして、と土方は応え無き問いを自身の中で、ただ繰り返す。