青い本棚
□夢、また夢
1ページ/4ページ
とある日の朝。
今日は、学校も祓魔塾もお休み!
特段任務もないが、学生達の朝はいつも通りだ。
「どーした雪男ー?最近目の下クマができてんぞ?」
「…近頃夢見が悪くてね……そーゆー兄さんこそ、最近毎晩うなされてるじゃない」
「おぅ…実は俺も夢見が悪くってよぅ…」
そして食堂に向かいながらお互いの夢を語り合う双子。
「ぎゃっははは!なんだそれ!ほっホクロで北斗七せって!はははははっ!」
腹を抱え、話し手の肩をバンバン叩きながら爆笑している兄に対し「ちょっ兄さん痛い!ってゆうか笑い事じゃないんだよ!」と、声を荒げる弟。
「でもよ、そんな極端すぎる夢なら心配いらねぇ!もし増えても、俺が炎で灼いてやるよ!」
ビシッと親指を立て、力一杯突き出してくる燐。
「いや、流石にそれは死んじゃいそうだから、普通にレーザー治療に行くよ」
眼鏡を上げながらビシッと突っ込んだ所で食堂に着き、ドアを開ける。
「おはよう!諸君!」
「メフィスト!?」
「フェレス郷!?」
このパターンは前にもあった!と、メフィスト特製小悪魔風スープの脅威を思い出し、ゾッとする二人。
「な、なんでメフィストがまた此処にいんだよ!」
「まさか…またウコバクを怒らせたとか…」
二人の顔に、焦りと不安、何よりも恐怖の色が広がっていく。
それを面白そうに見ているメフィストは、違いますよと短く答えて、厨房内からお膳を3つ運んでくる。
「今日はウコバクに別の用事を頼んだので、お膳係を頼まれたのですよ!私の分まで用意してくれていますから、一緒に朝食会でもしようではありませんか」
カラコロと下駄を慣らしながら軽やかに歩いてくる人物を訝しげに見る2人は
『こ…この格好は一体…』
と、メフィストお気に入りの萌浴衣に突っ込みをいれてもいいものか悩むのであった。
微妙な空気のまま朝食会は始まったが、よく喋る理事長のお陰で沈黙はなかった。
「そういえば先程、奥村君の豪快な笑い声が聞こえていましたが…何がそんなに面白かったのですか?」
味噌スープの塩加減を絶賛しつつ、厨房内まで響いていた燐の笑い声の原因が気になっている様だ。
「ぶはっ!こいつさぁ…もがっ」
雪男の黒子増殖悪夢を思い出し、噴き出し笑い話そうとした燐だが、その口は焼き鮭により塞がれた。
「僕の夢より兄さんの夢の話を聞かせてよ」
「ほぅ…そんな話をしていたのですか。悪魔の子の夢…実に興味深い!」
凶悪な雪男のオーラと、メフィストの粘り着くオーラに、焼き鮭を頬張ったままの燐は、冷や汗をダラダラとかきながら、とりあえず口の中の物を無くす為にハイスピードで口を動かした。
「俺の夢な!これがさぁ…有り得ない話なんだけど、なんか現実味があるってゆうか…とにかく聞いてくれー!なんか思い出したらモヤモヤするー!