SHORT

□幼馴染みのキョリカン
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〈3〉

保健室に来るのも久しぶりな気がした。
低学年の頃は風邪や軽い怪我などでよく訪れていたのを覚えているが、最近は喜ばしいことに来る機会も減っていた。
羽「あら?真帆ちゃん」
真「こんちはーっす」
羽「と、竹中君?」
竹「ども…」
2人が保健室に入ると、養護教諭の羽多野冬子が出迎えてくれた。
が、彼女は奥のベッドのカーテンから顔を覗かせており、何やら取り込み中のようだった。
真「どーしたの?」
羽「うーん…この子が発熱しちゃって面倒見てるところなんだけど。2人はどうしたの?」
竹中は体育の時間中に起こった出来事を説明していく。
冬子は「ちょっと待っててね」とベッドにいる子に話しかけ、真帆の方に寄って来る。
羽「あら…腫れちゃってるわね。竹中君、袋に水と氷を入れた物作ってくれるかしら。今ちょっと手が空かなくて」
と、冬子は竹中に真帆の世話を依頼する。
竹「わかりました」
真「いーよ、自分でやるから」
竹「やめとけって。そこ座ってろよ」
真帆は渋々椅子に座る。
小6にもなって幼馴染みの世話になるのが嫌なのかもしれなかった。
真「ナツヒ、なんかさっきから変…」
竹「ほっとけよ。いいから黙って座ってろ」
流し台でビニール袋に水と氷を入れながら真帆に話しかける。

実際、竹中の様子はいつもと違っていた。

ツンツンしたところは変わらないが、根底で何かが違っている。
その理由が明らかになったのは数分後だった
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