NOVEL

□06 最後の日
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〈2〉

朝食を済ませてから部屋を片付け、昴達は帰りの支度に取りかかった。
真「楽しかったなー」
バッグに荷物を詰めながら真帆が言う。
愛「長谷川さんが福引きで当ててくれたおかげですね」
昴「いやいや、あんなの偶然だよ。俺もみんなのおかげで楽しかったし、良い思い出ができたよ」
ひ「おー。ひなも」
いくつかハプニングもあったが、最後には気分良く終わることができた。
玄関先で旅館の方々にお礼を告げて出発する。
真「よっしゃ!帰ってバスケするぞ〜!」
背伸びをしながら言ったムードメーカーにつられて全員が笑顔になる。
雨上がりで乾きつつある地面に、7人は足を踏み出した。


〈3〉

昴「(っ…)」
まさか、帰りの電車の中でイベントが待っているとは思わなかった。
昴以外メンバー全員が疲れて眠ってしまったのだ。

そして、カクンと傾いた智花の顔が昴の肩に触れたままだった…。

昴「(き、緊張する…。何でこう今回はやたらと触れ合ってんだ…!?)」
おんぶといい、手を繋いだことといい、無駄に距離感が近づいた旅行だった。
昴「っと…」
昴は一度落ち着いて、智花の顔を見る。
そこには日常滅多に見ないほどの幸せそうな表情があった。
昴「(起こしちゃいけないな…)」
眠りを邪魔しないように、昴はそのまま彼女みたいに寄りそう智花を支えた。
小さな寝息が耳に届く。
それが心地よかった。

昴「おやすみ。また明日からバスケ頑張ろうな」

微笑みながら言うと、智花が少しだけ笑顔になった気がした。

一夏のイベントは温かな空気とともに幕を閉じた。



end
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