NOVEL-After Story-

□1 始まり
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<1>

春になり、桜が風に舞っていた。
寒さの厳しかった冬も終わり、卒業や入学、進学など、あわただしい季節になった。
七「すばるくーん。ご飯できたよー」
昴「今行くー。あと、くん付けやめろってー」
春の陽気のせいでついいつもより遅い時間に起きてしまった高校2年生。
長谷川昴。
何の変哲もない高校生で、特技はバスケットボール。
彼は制服に着替えると、急ぎ足で階段を下りた。
七「新学期早々遅刻はいけませんよ」
昴「わかってるって」
急いで朝の身支度をし、朝食を終える。
鞄に教科書が入っているのを確認し、昴は玄関に向かった。

それと、鞄の他にもう1つ。

七「ちゃんと持ったわよね」
昴「ああ」

それは、エナメルバッグ。

中にはバスケットウェアやシューズが入っている。

昴「行ってきます」
七「行ってらっしゃい。気をつけて」

とある事情により、彼はバッグを2つ持って学校に行くことは1年間できなかった。
1年振りの部活再開に、期待に胸を膨らませているのだった。


<2>

真「もっかーん!」
三沢真帆はバス停から大きく手を振った。
紗「ちょっと、大声ださないでよ」
永塚紗季は周りを気にして注意する。
愛「ふふ、中学生になってもみんな変わらないね」
ひ「おー。みんなそのまんま」
香椎愛莉と袴田ひなたも顔を見合わせて笑顔になった。
そして。
智「ごめん遅れちゃって!」
ピンクの髪を片結びにした少女。
湊智花。
彼女もまた相変わらずだった。
紗「大丈夫、まだバス来てないから」
智「ふぅ…よかった」
真「もっかん、さては寝坊したな!」
智「はぅ…!」
ひ「おー。ずぼしですなー」
愛「でもわかるなぁ。春ってどうしても眠くなっちゃうもん」
紗「春眠暁を覚えずってやつね」
真「なになに?何かの呪文?」
紗「先を急ぎましょう」
真「無視するなー!」
やがて、慧心行きのスクールバスが到着する。
進級したとはいえ、同じ敷地内の学校なのだからあまり新鮮な感じはしないかもしれないが、中学校でも生活がいよいよ始まるのである。
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