NOVEL

□15 君と僕の物語
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〈1〉

真「すーばるーん!」
練習終わりに更衣室から出た昴は元気いっぱいの真帆に出会した。
部屋の外で待ち構えていたのだろうか。
昴「真帆か…びっくりしたよ。何か用?」
真「くくく…よくぞ訊いてくれた。じゃーん!」
怪しい笑いの後に真帆が見せびらかした物は。
昴「ん?チケット…?水族館の」

水族館のチケット2枚だった。

真「これをすばるんにプレゼントします!」
昴「え?」
真帆の言動が色々と急すぎてよくわからなかった。
昴「いきなりどうしたの?それ、誰かと一緒に行くんじゃないの?」

真「いやいやー。これはすばるんともっかんのためのプレゼントですぞ」

…。
は?という顔しかできなかった…。
昴「ちょっと待って!言ってることがよくわからないよ」
真「だからー。すばるんともっかんでデートして来いっていう訳」
真帆はまるで順序だてて説明してくれない。
昴が焦っているとやがて真面目な表情になって説明してくれた。

真「今回もっかんが元気になったのはすばるんのおかげだろ。そこでたまには2人切りで遊ぶのもいいかなーって思った訳さ」

いまいち理由の説明になっていないような気もするが…。
昴「そんな…普通にみんなで行った方が楽しいんじゃないのか?」
真「わかってないなー。みんなで行ったらもっかんがすばるんと話す時間が短くなるだろー。気付いてないと思うけど、もっかんはすばるんに感謝したがってるんだぞ」
昴「え?」
それは全く気がつかなかった。
真「だからこれは、あたしらからのお礼も込めて受け取って」
昴は控えめになりながらチケットを受け取った。
昴「…うん、ありがとう。受け取っておくよ」
真「ちなみにちゃんともっかんを誘うんだぞ」
昴「うん。……え、まだ智花には言ってないの?」
真「おう!もっかんはすばるんに直接誘われた方がドキドキだろうからなー。じゃーねー」
昴「あ、ちょっと…」
真帆は逃げるように行ってしまった。
嵐が過ぎ去ったような感覚だ。
昴「(デート…ね)」
色々と急すぎる。

しかし。

ちょうどよかった。

昴「(どういう風の吹き回しか知らないけど…ちゃんと伝えなきゃな)」

今の昴には、やるべきことが、やりたいことがあるのだ。
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