NOVEL

□13 SHOOT!
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〈1〉

智花は布団の中でケータイをいじっていた。
いつもならこのようなことはあまりないが、今日はなかなか眠れなかったのだ。やはりシュートのことが心配なのかもしれない。
チームのみんなにがっかりされることは決してなかったが、自分としてはショックだった。
智「(頑張らなきゃ…)」
小さな少女はケータイを閉じる。
そして、明日に備えて眠りについた。


〈2〉

智花のスランプも1つの変化だが、変わったことといえばもう1つあった。
昴「おはよう、智花」
智「お、おはようございます…昴さん」
いつもと変わらぬ朝。
智花は昴の家に日課となっている朝の練習をしに来た。
そこまでは変わらないのだが。
智「今日も…よろしくお願いします」
昴「うん。こちらこそよろしく」
昴は尋ねる。

昴「…ところで智花?どこか具合悪かったりしない?」

今までと異なり、智花が妙におとなしいこと。

そして、昴をなかなか直視できないこと。

それが変化だった。
智「い、いえ!今日も元気です」
昴「そっか…何か顔赤かったからさ…。また熱でもあるのかなと思って」
昴は苦笑いしながら言う。

実は、ここのところ昴自身にも変化はあった。

それは、気付いたら智花のことを考えているということ。

智花が泊まっていたあの日の夜以来、ずっと智花のことが気になっていた。
気になるというのは、心配するという意味ではなく、意識してしまうという意味の方が正しい。
智「心配してくださってありがとうございます」
昴「いやいや。勘違いしてごめんな」
2人そろって赤面する。
その後、いつも通りの朝練が始まった。

お互い、胸の左側の違和感を感じながら。
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