小説
□幻想郷、暗闇の冬
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冬の幻想郷。
まだ初冬、初霜がようやく降りたところ。
ある日の真夜中。
「ったく…何故私がこんなことをする必要があるのか…」
どこか不満そうな声が響く。だが、周りには誰もいないのか、返事が帰ってくることはない。
「あいつもあいつだ…いきなり突拍子を無い事を言い出すからな…」
呟く人物によれば、 『あいつ』とやらが原因のようだ。
「派手に物事を起こすな、しかし気づかせろ、か…まったく。無茶をいってくれる…」
が、突然表情が変わる。まるでなにかを企んだかのような、口元を僅かに上げた、歪んだ笑み。
「そうか…こうすれば良い。それならば動くことになるだろう。だが、派手では無い。」
何をしたのかは不明だが、それでも何かはしたようだ。
「人里には被害を出さず、実力者のみに気づくように。さて、どの程度で気付くのか…」
そこで何かを思い付いたか、呟いてから姿を消した。
「面白くするには、強者たちに協力してもらうか…」
そう、呟いて。