小説

□紅の月、新たなる幻想入り
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「たしかこの辺りだったはず…」

一人の少女が呟く。いや、少女と女性の狭間だろうか。

彼女の名前は御巫紅美(みかなぎくみ)、高校2年生である。背は170近く、黒の長髪を靡かせながら、歩いているのは山道。

何故彼女はこんなところを歩いているのか、それは1ヶ月ほどさかのぼる…



〜紅美side〜
「私が大将?」

いつものように剣道部に練習に来ていた時のこと。

教師「いや、そうだろ?お前が一番強いんだから。」

先生が言う。でもおかしい。私はこの剣道部では二番目のはず。

「先輩はどうしたんですか?」

教師「先輩?お前より強い三年がいたか?」

周りも頷いている。あれ…?とりあえずここは合わせておく。

「そうでしたっけ…まあ分かりました。僭越ではありますが、大将を務めさせてもらいます。」

おお〜とかなんとか、周りから拍手が巻き起こる。

でも私には違和感しか残らない。剣道で主に二刀流を使う、私が一本も取れなかった、あの先輩はどこに…?

練習が終わる。とりあえず剣道部の名簿を確認してみる。が、そこに名前はない。

ならばと思い昨日キャンプに行ったという先輩の友人二人に話を聞いてみたが、「二人でいった」と言われた。念のためキャンプした場所を聞いて、メモをとった。


それから夏休みの間は剣道部の練習、大会があった。相手を軽々と下し、優勝。先輩に比べれば相手にもならなかった。ようやく一段落ついたのはあれから1ヶ月近く経った今日。

キャンプコースはわりと有名な山。そこでひたすらに探してみた。

「これは…封滅札?」

少し山道をそれたところにあった札。これがあるのなら間違いない、先輩はここのどこかに居る、もしくは居たはず。

と、その時空気の揺れる感覚。向きは…向こうね。

そうして私は歩き始めた。なにか情報が手に入ると信じて。
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