小説
□幻想郷を巡る
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「だから、俺は妖怪なんかじゃないから人里に入れてくれって。」
門番「お前の使った力は宵闇の妖怪のそれと同じものだ!妖気を隠してるかもしれん奴をいれることは出来ん!」
俺は人里の門で言い争いをしている。さて、何故こんなことになったのか?
〜回想〜
博麗神社から出たはいいが季節は夏。そして太陽がさんさんと輝いている。
「いや〜これは暑すぎだって。どうにかなんねえか?」
1人文句をいう。空を飛んでいるから照り返しはないが、暑いものは暑い。せめて日傘でもあれば…日傘?
「よっ!」
日傘がないなら作ればいい。というわけで、自分の頭上に闇を作る。予想通り日陰が出来た。これで少しはマシになった。
そうして俺は気づく。ここなら幻想郷が一望出来る。人里もどこかわかるだろう。そう考えて見回す。
「これは…」
今の季節は夏。幻想郷は緑に覆われている。煙のようなものが上がる山、非常に大きな湖、紅色の大きな西洋風の屋敷、向日葵で埋め尽くされた場所。俺は現代の日本では決して見れない、その美しさに魅せられていた。
と、茶色がベースの場所が見える。俺は光をいじって望遠鏡を右目の前に作って覗く。そこには和服をきた人たちに、まるで江戸時代のような街並み。あそこが人里だろう。
「まずはあそこだな。」
そう呟いて移動する。頭上に闇を展開したまま。
「よっと。」
そう言って人里の前に着地する。大きな門が見えたからだ。
門番「何者だ、お前!」
いきなりそんなことを言ってきた。
「俺は外来人だよ。今は博麗神社で世話になってる。上白沢慧音って人に届けるものがあってきたんだが?」
門番「ならお前の頭上の闇はなんだ?その力は宵闇の妖怪が使っていたはずだ!さては妖怪だな!?」
〜回想終了〜
そんなこんなで門番と言い争いをしていると、
「どうした?何があったんだ?」
そう言って里から出てきたのは1人の女性。白に青のメッシュが入った髪に、ドレスのような形の服。頭にはなんとも言えない形の帽子をかぶっている。
門番「あっ、慧音さん。この怪しい奴が里に入りたいって言ってるんです。」
「ふむ…そうか。君、名前は?」
女性は俺に名前をたずねてきた。上手くすれば人里に入れるかもしれない。
「俺は安倍晴彦。外来人です。今は博麗神社で世話になっています。あなたが上白沢慧音さんですか?」
さっき門番は「慧音さん」と言った。それなら楽にいけそうだ。
「ああ。たしかに私が上白沢慧音だが、どうして名前をしっているんだ?」
「霊夢からこの手紙を渡してくれって言われたんで」
そう言って手紙を渡す。
慧音「ふむ…なるほど。どうやら本当のようだな。それじゃあ人里を案内しよう。」
門番「慧音さんが言うなら…通っていいぞ。」
許可をもらって人里に入る。江戸時代のような街並みだけど、悪くないな。
どこに何があるのかを案内されたあと、慧音さんの屋敷に招かれた。居間に座り、お茶をのむ。と、慧音さんが話してきた。
慧音「さて、きちんと自己紹介していなかったな。私は上白沢慧音。この人里で歴史家と寺子屋の教師をしている。1つ聞きたいのだが、君は闇を展開していたな?説明をしてもらいたいのだが。」
歴史家と寺子屋の教師か。どうりで大きな部屋とか書庫とかがあるわけだ。納得したところで質問に答える。
「俺は光と闇を操る程度の能力を持っているんです。いや、正確にはもらった、ですかね?」
慧音「もらった?」
俺はあの日のことを説明する。神綺さんにもらった、だけだとわからないだろうし。霊夢や魔理沙にも話したからな。
慧音「そうか…済まなかったな。」
「じゃあ俺からも1ついいですか?」
慧音「ああ、構わないぞ。なんだ?」
俺は質問を1つ。慧音さんに会った時から思っていたことを。
「慧音さん、あなた、人間じゃないですね?」