長編
□5■第V夜■
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ジュリーにオムライスとサラダにフライドポテト、デザートに苺。
ついでにスコーンはおやつ用として袋に入れて貰った。
いつもよりも多めのモーニングだが、夜通し体を動かしていたのでお腹が減って仕方ない。
オムライスとサラダをペロッと平らげながら、まだまだだなぁと反省。
約3か月前のコムリンU暴走事件から事あるごとにユウと鍛練を繰り返し、任務中の怪我もほんの少しだが減った。
それでもユウのスピードに付いていけず、攻撃をかわすだけで精一杯なのだ。
稀に攻撃を仕掛けても、あっさりかわされる始末。
『…ユウと対等に戦うには…』
無意識に声にしていたらしい。
ポテトに伸ばしていた手が空を切った。
え、と我に変えるとソレを口に運ぶブックマンJr.が手前に座る。
「剣道三倍段さ、素手じゃ難しいんじゃねー?」
『なに、ソレ』
何食べてんの、と更にポテトに伸ばされた手の甲を軽く叩く。
手を止めないラビにポテトは諦め、デザートの苺に手を伸ばした。
よく熟れた甘酸っぱさが全身の疲れを癒してくれるような気がする。
漸く感覚が戻ってきた、と掌を眺めた。
「最近全く見掛けないと思ったら、サキ、ユウと鍛練してたんさ?」
誘ってくれれば良いじゃん、と少しムッとした声がしたのでそちらを向くと、ラビと眼が合った。
一昨日長期任務から帰ってくるとリナリーは任務に行っているし、科学班の皆は忙しく、ブックマンもコムイとバタバタしていて構ってくれる人が居なかったらしい。
頬杖付きながら小さなため息と隻眼が再度向けられた。
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