長編

□4■第U夜■
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最優先人物のアレンを収容完了したコムリンUは近くで寝ているリナリーを発見し、
そちらに向かう。

アレンをどうにか助けようとコートの裾を持ってしていたリーバー班長は、
離すまいと力を入れるが扉は一向に開かず。
眼の前でもう一人コムリンUの餌食になってしまうのかとコムリンUを睨みつけた。





「マッチョは嫌だ―!!起きるんだリナリー!!!」




と叫び暴れるコムイに殺意を超えてうんざりする。
ホントになんなんだ、周りを振り回すこいつは。

室長として冷静に物事を判断し、時には非情な決断を下したり、
エクソシストが戦いやすい様に団服や武器を開発する類稀な頭脳には尊敬する。
しかしだ。

リナリーが関わることと、
周囲を困らせるだけの発明には少しうんざりだ。












「リナリー!!」



大砲の先にいつの間にか目覚めてたリナリーが立っているらしく、
一斉にそちらに向く。

麻酔が残っているのかボーっとしながらフラフラして、
安定の悪い足場に立つ彼女がコムリンU眼をやる。




「アレンくんとサキの声が聞こえた…、二人ともいるの…?」





未だボーっとはしているもののイノセンス“黒い靴”を発動し、
コムリンUの攻撃をかわす。


砲台に巻きついてきたコムリンUの脚を避けるためにエレベーターの囲いに飛び乗るリナリーに、
リーバー班長はアレンの居場所を告げた。

コムリンUの重さによって傾くエレベーターに騒いで出力をいじる化学班を横目に、
自分に照準を合わせたソレの顔面に蹴りを喰らわせる。

放たれる光線を軽く避け、迫る脚の間を舞い、
コムリンUを真っ二つにすることで動きを止めたのだ。











その隙に包帯でぐるぐる巻きになったアレンを助け出し、
砲台によじ登るリーバーの横をトラブルの発端者が駆けていく。

そしてこの騒動を終わらせるべく止めを刺そうとするリナリーを制し、
コムリンUは悪くないとまで言い放ったのだ。






完全にキレた思考でイノセンスを解放する。
腕を真っすぐ伸ばし、彼に向ける。



『いい加減にしろ、コムイ!!』

「兄さん、ちょっと反省してきて」



リナリーの蹴りとアタシが放った炎の弾丸はコムリンUに同時に命中し、
コムイとコムリンUは大きな音を立てて階下へ落ちて行った。







なんだかなぁ、もう…、誰かが呟いたソレに同感、と大きいため息が出る。
全員の溜息が、この黒の教団をボロボロの状態にまで追いやった騒動に終わりを告げた。









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