長編

□2■第零夜■
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「……名は?」




向かいのソファーに静かに座り、
彼方を見ている少女に声をかける。
黒のワンピースを身に纏い、
深い緋色の髪と瞳をしたソレと眼が合った。




くっきりとした二重に長い睫毛の端正な目鼻立ち、
そして何よりも引きずり込まれそうになる様な強い眼をしている。










「サキ、……蘇芳 サキ。」




澄んだ声と共に、キィィィンとイノセンスが在る音が微かに聞こえた。








―――蘇芳 サキ
14歳の不思議な空気を孕んだ少女と出会ったのがこの時だった。










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