長編

□2■第零夜■
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「……クラウド、コイツを頼む」







赤く染まった月の下、革張りのソファーに深く腰を掛けた男が
ワインの入ったグラスを空けながら呟いた。

足を組んで反り返り、グラスと煙草を持つ姿はとても聖職者には見えない。






隣に座るクラウドの返事など求めてもいない…と言うかのように空になったグラスをサイドテーブルに置き、
トランクを片手に部屋を後にする。

じゃあな、と紫煙を吐き出しながら闇に消えていった。











−――あの男はいつもそうだ。



一切の説明もせずに自分勝手に事を進めていく彼の性格のせいで、
今までも何度振り回されただろうか。
肩に乗っているラウ・シーミンを一撫でしながら、軽く溜め息をついた。












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