長編

□3■第T夜■
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此処、黒の教団の朝は早い。
と言うよりは働きっぱなしの科学班がいるせいか、
夜というものが極端に短い気がする。

とは言えアタシも教団に居る時は鍛練をしたり、
書庫に入り浸ったりする事が多いので起きている時間が長いのだが。






起きてから眼を醒ます為に軽くシャワーを浴びた後、
昨夜受けた任務の準備に取りかかる。

荷物はいつもと変わらず、
受け取った資料と地図、
科学班が持たせてくれている傷薬、
少しの飴玉と念の為のお金。

それを小さめのトランクに詰め込み、
団服のジャケットと一緒に持って食堂へ向かった。






朝から元気なテンションのジェリーにおはようと挨拶を交わし、
朝食をオーダーする。

教団に来る前は師匠と各地を転々とし、
特に中国大陸に居ることが多かったせいかスコーンはここに来てから初めて食べた。
かなり料理の腕がいいジェリーのスコーンは甘さを抑えてあり腹持ちも良いせいで、
任務に向かう時の朝食はいつもコレ。

もう二年も教団に居て任務など慣れてきているはずだが、
それでも行く前は少し鼓動が速くなる。
紅茶を飲んで気持ちを落ち着かせながらスコーンと好物の苺を食べる、
それが任務前の食事スタイルになってきていた。





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