長編
□10■第\夜■
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『…此処は何処』
こんな所に来た覚えはない。
確か日本に向かう途中だった筈。
ラビ達の乗っていた船に合流して…、
あぁ、レベル3と戦う為にペガサスと船を離れたのだ。
満身創痍になりながら応戦して…。
『そう言えばペガサスは…?』
クロスに改造されたアクマは何処だ。
未だはっきりしない頭を振って、強制的に覚醒させる。
思い出せ。
何を、した。
何故、此処にいる。
「…此処で、お別…です。」
『ペガサス?』
「この先…、…一人で…」
…そうだ。
あのアクマは三度アタシに頭を垂れて、
背中に在る硝子の羽根を羽ばたかせ、
自爆したんだ。
この“方舟”に入る瞬間に。
途切れ途切れに再生する記憶を辿り、
握りしめた掌を解けば、ブーゲンビリアの華が散る。
こんな所で座り込んでいてはイケナイ。
ラビは?
リナリーは?
ユウ達は?
壁伝いに立ち上がり、どちらか解らない先へ足を踏み出した。
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