長編
□9■第[夜■
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『きっつ!』
「大丈夫ですか?」
『あぁ、もう!鬱陶しい!』
自分はこんなタイプではない。
面倒な事は嫌い。
マイペースに生きるとあそこを出た時決めた筈。
アクマなんかに振り回されてどうする。
クロスなんかに、千年公なんかに。
目の前に並ぶ2体は、肩の塗装が微かに剥がれた程度しか変化はない。
コキコキと肩を鳴らしている辺り、
全くダメージは与えられていないだろう。
「抵抗した場合は攻撃を許可されている」
そう声が耳に届いた瞬間。
「此方だ」
真上から振り下ろされた蹄。
ペガサスの背中から蹴落とされたと思えば
腹部に感じる衝撃。
同時に斬られた右足から鮮血が散る。
『カ、ハッ、』
空に浮き上がる身体に眩暈を覚え、無意識に眼を瞑る。
ハ、と吐き出される呼吸が苦しい。
その直後。
月に向けていた背中と左腕に、ザッという音と共に走る激痛。
もう一体のレベル3の持つ刃が身体を切り裂いた。
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