長編

□9■第[夜■
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「クロス元帥はこの事まで予想されていました」

『この事?』

「追っ手です。
その上で再度“覚悟を決めるように”と」



船から離れ始めた頃、また“キュン”と言う音が聞こえたと思えば、
軋み出す背中と滲み出す左肩の血。

ミランダの能力とやらは一定の範囲内のようだ。





間合いをとって刀を構える2体への視線はそのままに
ウエストポーチに忍ばせておいた止血剤を肩にかけた。



『覚悟は、』

「“そのままじゃあ、やられちまう。
覚悟の意味をよく理解しろ。”」

『!?なっ!』




何を。

その意味を一番理解しているのは紛れもなく自分。

まさか。



「そのまさかです。」


「余裕で在られるな。」

『!!!』



身体の右側から真一文字に走る刃先。

寸でのところで剣を立て、全身で刃を受け止めた。

ガキンと鳴る金属音。

ペガサスの上に乗せた足に力が篭る。


受け止めるのが精一杯。





旋回し出す足元に合わせて、押し返すように紅く光刃を振り下ろし
向かい来るアクマから距離を取った。





その瞬間背後から駆けてくる鈍色の馬に跨がるもう一体。

振り回された薙刀型の武器を避ける為に
力一杯ペガサスの背を蹴り、上空高く舞い上がる。


ペガサスが辛うじて2体から逃れ、鳴ることのない蹄を動かし、
下降し出したアタシを背で拾い上げる。



『紅ノ弾丸!』



目下から此方に体勢を整え向かい来るレベル3に
無数の巨大な炎の塊を形成させ、
その銃弾をこれでもかと言うくらい撃ち込んだ。





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