長編

□9■第[夜■
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「…足としてお使いください。」

『ペガサス!
…震えてるけど大丈夫なの!?』

「彼方の方がレベルが高位なので、
何処までもつか解りませんが。」



レベル3とアタシの間に躍り出たのは、
此処まで運んでくれたペガサス型のアクマ。



レベルが高い相手に向かうのは自殺行為なのだろう。

険しい表情を浮かべ、冷や汗を流しながら
またアタシに頭を垂れて背中へ乗るように促した。




「レベル2が何を。」

「喰ってくれるわ。」


レベル3の声が低く響く。







ボルトで繋がれたワイヤーと硝子で形成された両翼の間に飛び乗り、
継ぎ目と継ぎ目の隙間に爪先を埋める。



ペガサスの背中にバランスを取りながら立てば、
漆黒の鬣が潮風に靡き、蹄が空を切った。


「行きます」


一際大きく羽ばたき、もう雲一つない空へと飛び出した。






「サキっ!?無茶さ!」


視界の端、今や水平を取り戻した船のマストから
此方を見つけたラビが叫ぶ。

先程助けた船員が隣で不安げに立っている。

どうやら彼が知らせてくれたらしい。







『絶対、追い付くから!』


船から遠退きざまに声を張り上げる。







小さくなっていくラビが何かを叫んでいたが
ソレはアタシには届かなかった。





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