長編

□8■第Z夜■
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■第Z夜■
孤独からの脱出





アメリカ西部を出発し、
カナダからアラスカ、ロシアと言う様に国を跨いだ。
と言ってもほぼ海の上を飛んでいるだけ。

たまに立ち寄った海岸沿いの街で少しだけの食料を入手し、また海を渡る。



その繰り返しでもう何日過ぎた事か。










そのまま日本に上陸して良いと行ったのにも関わらず、
このアクマは改造者の命令だ、と言って針路を変更しようとしない。




我らが誇る化学班のコートを持ってしても、
アラスカは寒かった!



初めて体感する極寒に耐えきれず、
無意識に二の腕を擦ってしまった事二回。

その度に振り落とされて氷点下の海に叩きつけられそうになったのだが、
上手い事このアクマが旋回して拾ってくれなければ、
流氷の間を彷徨い、息絶えていた事だろう。



そう考えるとゾッとする。




そんな極寒地帯から南下し出したせいで、
少し気温が安定し、木々が生い茂ってきた。
景色が一変した。








『ねぇ!何処に向かってるの!?』

「一人では行かせられません。」

『ソレは何回も聞いたって!!!』



数日間潮風に晒されたせいで少し髪がぼさぼさだ。
肌も乾燥して荒れてきた。



何処かの部隊に合流するのは解ったけど、
こんな満身創痍、見せたくないな。






月明かりに照らされた自分の無残な紅を見ながら、
そう呟いた所だった。





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