長編

□7■第X夜■
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ゆらり、ゆらり。




■第X夜■
決意の行方









先程から此方を見下した様に睨みつけるサキ、
今回連れて帰れと主から指示された人物は一向に動かない。

しかし、先程まで感じていた恐怖の色は消え失せ
怒気を孕んだ重い空気が陽炎の様に揺れている気がする。





爛れてしまった左手を一瞥し、右手を鞭に変換する。

私の能力と相性が悪いのであろう。
液体になって封じ込めれば簡単に連れて帰れると思っていた。









その瞬間、両サイドにいたレベル2のアクマが激しい音と共に吹き飛ぶ。
爆風が起こり、粉塵が舞い上がる。

―――動いた気配は無かったのに!






不意に間合いに飛び込んできた紅。
咄嗟にかわしたが、左手に炎が再度触れてしまった。
激痛が走る。




「っ!」

ザっと足で勢いを相殺し身体を止め、膝をつく。
眼の前の人物に右手の鞭を撓らせながら攻撃を繰り出すも、かわされてしまう。







「本気でかからないと、と言うことか」
『…』

立ち上がり、無言の彼女に向かい、走り出す。
右手を、髪を、幾つもの鞭に変換し、四方八方から攻撃をする。
地面や物に当たる度に撓り、方向を変える鞭での攻撃は読みにくいのであろう。





何度かかすった手ごたえがあった。





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