槻木学園日記
□潮風香る思い出
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「しかし、何回見てもでっかいな」
鶴城邸の玄関に立った時に小さい声でリュウトが言った。
たしかに大きい、庭だけで普通の大きさの家二軒は建てるられるだろう。
ドアチャイムを鳴らすと五秒くらいしてからアスカがドアから顔を覗かせた。
「いらっしゃ〜い、これで全員揃いましたわぁ」
全員?僕とリュウトの他に誰か呼ばれたのだろうか?
「とりあえず上がってくださいな」
「お邪魔しま〜す!」
何故か楽しそうな感じでリュウトが言った。
まさかこっそりと探検でもするつもりだろうか。
リュウトのことはどうでも良いとして言われたとおりに家の中に入った。
十秒ほど歩いて少し大きめの扉を開けると、ソファーがキレイに並んでいた。
そのソファーの上には既に二人の人影があった。
「あれぇ?二人も呼ばれたの?」
「全く遅いよ〜、ボクなんて20分前に着いたのに」
やっぱり、見間違えるはずが無い。
カズマとミハルだ。
「んで、結局話しって何なの?」
僕は早く話しを進めたいので急かす様に質問した。
「たしかに、あんな電話じゃ意味が分からないよ」
続いてミハルがそう言った。
「いや、大したことでは無いのですの」
相変わらずのゆっくりした口調でアスカが喋りはじめた。