ガンダムSEED・D

□共にありたいと願う心
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「・・・ン、シンってば聞いてるの?」
「あっ、すみません。ついボーっとしてしまって。」
穏やかにキラはシンを見つめて、
「うん。そうだね。心ここにあらずって感じだったもんね。」
キラから視線を落とし、
「すみません。」
と謝る。
「別に謝ってもらうようなことじゃないけど。何かあった?それとも、僕に話せないこと?」
あの日聞いたラクスの言葉が蘇る。
『キラは自分から艦に乗ることを希望したのです。あなたの傍にあることを望んだのです』
俺は・・・あなたを討ったんですよ。そしてあなたはステラを殺した敵で、ザフトの敵だった。憎かった誰よりも。
「どうしてですか?」
「?」
「なんでっ!・・・俺はあんたを討ったのに・・・・・あんたはステラを殺したから・・・なのに・・・」
突然の告白にただ黙って聞いている。
「憎かった。ただあんたを殺すことだけを考えていた。」
だけど、それはステラの敵うちという名目で、結局のところ自分のエゴでしかない。
彼を討ったところでステラが返ってくるはずもない。そして、今、考えればああしなければフリーダムがステラを討たなければ、多くの犠牲が出ただろう。
だから、あえてあの時、今まで決してコックピットを狙わなかったフリーダムが、パイロットを止めるためにコックピットを狙ってきたんだろう。
一人の命と多くの命。キラは迷わず多くの命を救うことに迷わなかった。そして、きっと大半がそれが正しいのだと言うのだろう。
それでも、あの時の俺は多くの命よりもただ一つの命の方が大切だったんだ。
「俺は・・・・・。」
呟いたシンに対しキラは静かに言う。
「僕を殺したい?」
シンに問いかける
「殺したいっ!・・・って思ってた。でもっ・・・もうできない。あなたという存在を知ってしまったから。」
力を使うことの意味を教えてくれたから。
手を差し伸べてくれたから・・・・。
「ごめんっ。こんなこというつもりなかったのに・・・・すみません。」
俯いた顔から一筋の涙が流れ落ちる。
シンは涙をぬぐうが次から次へと流れ出す。
「謝ることはないよ。僕はシンの大切にしていた少女を殺したよ。恨まれても、憎まれても仕方がない。」
キラの言葉に抑えていた感情が総毛だった気がした。
だが、次の言葉で総毛だった感情が霧散した。
「今でも僕を殺したい?」
キラを・・・殺す?
そんなこと、今の自分にできるはずがない。今、キラといることを望んでいる自分がいるから。
共に平和への道筋を見つけたいから。
涙に濡れた瞳でキラを見つめ言う。
「どうして一緒にいようと思ったんです?俺はあなたを討ったのに・・・ラクス様が言われたんです。キラさんが艦に乗ったのは俺の為だと。どうしてですか?」
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