その少女、陰陽を指し示す

□眠れる魂呼び覚まされし時5章
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「…………扇風機グッジョブ」

昌希は自分の頭上斜め上にある扇風機に視線を送り
少し低めの声で呟いた
昌希の通う小中高一貫のこの学校は小中は扇風機、高校はクーラーが教室に設備されている

昌希の席は一番後ろの一番右
つまり窓から一番遠く、なおかつ一番扇風機の当たる位置だ
これはじゃんけんで決めた

あのとき皆がこの席譲ってくれようとするから
無理矢理じゃんけんに持ち込んだんだよなぁ
直感にしたがってだしたら結果的に勝ってしまったんだけどね

軽く過去を思いだし昌希は内心悪戯っ子のように舌を出した

今は6時間目の前の休み時間
皆次の授業の時に球技大会の種目が発表されるから
そわそわしている

「にしても、暑い」

暑さに弱い昌希にとって扇風機があってもこの季節は酷く過ごしにくい

帰ったら玄武に我が儘言って周りの水分を多くしてもらおっかな〜…………やめとこ迷惑だ

一瞬あまりにも横暴で邪な考えがよぎったがさすがにそんなことを玄武に頼むのは気が引ける


キーンコーン、カーンコーン………


いつの世も変わらないお馴染みのチャイムが
6時間目の始まりを知らせた
それを合図に
廊下とか教室の後ろで楽しそうにお喋りをしていた
クラスメイト達が蜘蛛の子を散らすようにパッと席に戻った


さて、いよいよ球技大会の種目が発表かと
皆が意気込んで先生を見上げ、口を開くのを待った

先生はその視線を受けてどこかかったるそうな雰囲気を醸し出した

「さて、今日は球技大会の種目と、もろもろ決めるんだったな。学級委員あと頼んだ」

さらりと、学級委員にすべて押し付け先生は
さっさと自分の席に戻り足を組んで頬杖をついた

今、一瞬絶対全員先生に呆れたと思う
というか、僕は顎が外れるかと思った
なんて先生だ、某冥官の親族なんじゃないだろうか
ってくらいに不遜な態度だ、あかん人かもしれない


「…………はい、じゃあ発表していきますね」

学級委員の彰子と春日君が若干顔を引きつらせているけど
てきぱきと進め始めた

「さ、さて、では僕たちのクラスは球技大会をバスケで出場します。何かこれに対しての意見はありますか?」

春日君が少し噛みながらもさらっと溜めることもなく
発表しちゃった
もー少し仰々しく発表してもよかったんじゃないかな〜

皆は意見があるはずもなく誰一人手を挙げない
それをざっと見渡した彰子は小さく頷くと

「意見がでないようなので、次にいきます」

そこで春日君をちらっと見る
春日君は彰子の視線におどおどしながらも続きを話始めた

「え、では次にチーム分けをしていきます
男女に分かれて代表者7名を出してください」

その声を合図にわらわらとクラスメイト達は席を立ち初め、
誰が具体的に指示したわけでもないのに綺麗に右と左に
男と女というように分かれる


扇風機の前から動きたくないなぁー

と思いつつも僕も席をたって女子の集まりへ向かった
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