その少女、陰陽を指し示す
□眠れる魂呼び覚まされし時3章
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僕は早速、彰子と章子に電話をした。そうしたらすぐさま返答があって、今から行こうという事になった。
「じゃあ、11時にショッピングモール前で待ち合わせね。それじゃあ」
そう話してプツリと通話を切る。
「じゃあ、用意をしないと」
そう言うと2つの神気がおり顕現した。
天后と天一だ。
「昌希様、彰子様達とお出かけするとお聞きしましたが?」
と天后が聞くと昌希は満面の笑みを浮かべて言う。
「うん!楽しみだなぁ」
それではと天一が衣装をいろいろ用意してきた。
「彰子様や章子様に負けないようにおめかしをしなくてはなりませんね」
何時も優しげな微笑みを浮かべている天一と天后に気合が入っているのを感じ昌希は一歩退いた。一体何が始まるのだろうと…。
「普通でいいんだけど…」
そう言うと天后はゆるゆると首を振って言う。
「昌希様はこんなに可愛いのですもの。着飾らない手はないです。そして、着飾った後は悪い虫がつかないように神将が共についていきますから」
ニコリと笑って天后は言った。
「そんな大袈裟な事は…」
「「昌希様は自分を知らなすぎる」ます」
そこにいた者達の口調が見事に重なった。普通の服装の時でさえ昌希へ近寄ろうとする害虫が多いというのに、こんな天然な昌希を神将も連れずに外に出したりしたら……そう思うと頭が痛くなった。
「取り敢えず着替えましょうか?」
と天一、天后に微笑まれ、二人が選りすぐった服に手を伸ばした。
「なんだか、すっごく恥ずかしいんだけど。本当に、似合ってる?」
天后はもう自我絶賛するかのように、少し頬を赤らめ、満足そうに頷き言った。
「似合っていますとも。昌希は何を着ても絵になりますが、いつもよりも輪をかけてお可愛いらしいですよ」
天一もにこやかに言う。
「天后の言う通りとても似合っておられます。六合もそう思いませんか?」
天一に話を振られて六合は答える。
「良く似合っている」
六合は手短に答えた。
六合は普段の昌希でも十分可愛いと思っているが、流石に天一や天后がいろいろあれやこれやと昌希に着替えさせただけあって今日の昌希はいいようがない程に可愛かった。
その横に朱雀が顕現する。そして昌希の姿を見て目を細めて言う。
「昌希、随分おめかしをしたな。天一に天后、これじゃ昌希の身が心配だが、大丈夫なのか?」
そう言うと天一は朗らかに笑って答える。
「えぇ。朱雀。抜かりはありません」
天一は天女の如くの笑顔を朱雀に見せた。