少年陰陽師
□お題:探している
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平安の時代からずっと探している魂。
昌浩の穢れなき純粋で無垢な魂はどこにあるのか。
現代、安部家に嬰児は二人生まれた。
一覧性双生児で見事に瓜二つだった。
昌浩を失ってから長い年月十二神将は晴明の生まれ変わりである、清明(せいめい)に下った。
清明は事の成り行きを聞き悲しみがまだ癒えきらない朋人を思い、一日でも早く昌浩の魂がまた輪廻をくぐりここに辿りつくことを願っていた。
そして生まれたのが双子だった。
だが、十二神将は目を見開く。
なぜならばどちらも昌浩の魂を間違いなく宿していたから。
「昌浩が二人?」
大陰が声に出す。
「確かに昌浩の気配がする。それに・・・二人とも昌浩と面影が同じだ。」
六合が答える。
「じゃあ、どっちが昌浩なの?」
問う大陰に騰蛇が答える。
「どちらが昌浩でもいいさ。こうして戻ってきたのなら。」
そういい騰蛇は優しいしぐさで双子の一人を抱き上げる。
初めて昌浩と会った時と同じだった。
騰蛇の神気を感じても泣き出す事は二人ともなかった。
「そうだな。」
と微笑む勾陳がいる。
「フン。ようやく今まで言えなかった事が言える日が来たわけだな。存分に言わしてもらうぞ。」
不適にいう青龍。
「お前達お手柔らかにな。まだ、赤子なのだから。」
「あぁ、解っている。だが、俺達を置いて逝ったことは許していないからな。二度としないように言い聞かせないといけないからな。」
青龍は言う。
しかし、そういっていても再び出会えたことに皆が喜んでいるのを感じた。
再び失ったものをこの手に取り戻した日だった。