少年陰陽師

□お題:喪失感
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*喪失感はお題:ごめんねの続編だと思ってください。では、どうぞ











大妖は封じられた。
昌浩の命を対価にして。
浮遊する意識の中、昌浩は思う。残してきた十二神将のこと。そして、彰子のことを。
ごめんね。それでも俺は、誰も失いたくなかったんだ。
例え十二神将が死んでも新たにまた新しい神将が生まれると知っていても。俺は今のままの神将達がいい。
ごめん。これは俺のエゴなんだ。それでも・・・・。意識は薄れ消えていく。
きっと見つけるから、きっと、会えるから待っていて。そして、思念は消えていった。

紅蓮は黙って昌浩の傍に方膝を折り昌浩を見つめている。

「昌浩・・・・・・・。」

青龍は俯き拳を血がにじむぐらい握って 

「バカが!!」

怒りと悲しみをにじませた声音で叫んだ。

勾陳と六合はただ静かに見つめていたが、不意に六合は膝をつき昌浩の頬を撫でる。
生気をも使った術の発動のせいで、昌浩の身体は冷え切っていた。
他の神将達は苦渋の表情で昌浩を見るものや泣いているものがほとんどだった。

しばらく昌浩の頬を撫でていた六合は言った。

「昌浩はまた会えると言った。だから俺は再び昌浩に会える時を待つ。俺にとっては人の一生など瞬く間だからな。昌浩と同じ魂を持つものを見つける。」

それが六合の出した答えだった。

それを聞いた同胞達が涙ながらにその意見に賛同しかけた時、何より一番悲しみの底にいた紅蓮と宵蘭はいった。

「必ず見つける。必ずだだから待っていろ昌浩。」

「俺はお前に今回の事で言いたい事が山ほどある。会うとき十分覚悟するんだな。」

という二人。でも、それは昌浩を見つけるという誓いに近いものがあった。
十二神将にとって唯一無二の主を無くした。
今度は天命が尽きたわけではなく、自分達を守るために。
十二神将が受けた傷はとても深い。

だが、昌浩はまた会えると言ったからその悲しみを越えて歩いていこうと誓った。
悲しみを越えたその先に再びあの優しい笑顔に出会えると信じて。






そうして、時間が過ぎ安部家に双子が生まれた。その双子は昌浩の記憶を共有しそして、霊力は昌浩の半分ずつだった。しかし、先祖がえりとでもいうのだろうか、兄の方は天狐の力を純粋に引き継ぎ、攻撃に長けていた。そして弟は兄が天狐の力を使った時のリミッターの役割をしており攻撃ももちろん出来るが防御、治癒を得意としていた。
これは、今より何百年か後の出来事。

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