少年陰陽師
□お題:窓の外を見上げて
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ふと、外から入ってくる風に冷たさを感じて、昌浩は感じた。
「あぁ、もう秋なんだね。この間まではあんなに暑かったのに・・・。」
そう呟く昌浩に物の怪姿の紅蓮は
「季節が過ぎ去るのは早いぞ。晴明の孫よ。」
からかいざまに言った言葉だが、昌浩は聞きのがさなかった。
「孫いうな!」
怒ったように昌浩は言うがいつものことなので全然怖くない。
「どんどん時間が過ぎ去っていくんだろうな。」
と感慨にふける昌浩。
「どうしたんだ。昌浩よ。」
と紅蓮は尋ねる。昌浩は言う。
「今までいろんなことがありすぎて、こんなに落ち着いた日なんかほとんど無かっただろ。なんか、ホッとしたよ。」
そう話す昌浩。
「でも本当に穏やかな日だね。」
そう話していると彰子が昌浩の私室に入ってきて、
「昌浩市井で干桃を買ってきたの。一緒に食べない?」
ニッコリ微笑む彰子に昌浩は頂くよ。と答える。彰子はそういった時の為急須と茶拝を盆に乗せ持ってきていた。
「さすが彰子。気が利くよなぁ〜」
紅蓮は関心する。道長の一の姫でありながら極々普通の生活に馴染んでいる。
普通ならあってはならないことなのだろうが・・・・。
「うん。この干桃おいしいね。」
昌浩は一口かじり彰子が用意してくれたお茶をすする。
「良かった。喜んでもらえて。」
と彰子は昌浩を見て微笑む。
なんでもない日常。でも、流れる風は澄んでいて昌浩の周りを包む気はとても暖かい。
昌浩はたまにはこんな日常があってもいいかと思った。
大切な人達が笑っていられるのなら。